今回のブログを担当させていただきます、キャリアコンサルタントの菅野です。

さて、みなさんはお仕事や転職など、ご自身の将来のキャリアを考えるうえで、これまでの様々な経験や価値観などで「判断」される方も多いかと思います。

とかく日本人は欧米諸国と違い、初等～高等教育に至る過程で、あまりこのキャリアに関する考え方をしっかりと学ぶ機会（キャリア教育）が少なく、いざ、社会に出ると自身の働き方に疑問を感じて迷われたり、何がしたいか明確ではなく離職してしまった、という方もおられるかと思います。

そこで、ヒントとなる「自己分析」のひとつをご紹介したいと思います。

マサチューセッツ工科大学の組織心理学者である「エドガー・H・シャイン」は、人がキャリア形成を選択していくうえで、「その人がキャリア上の重大な決断にせまられた際に、絶対に譲れない軸となる価値観や欲求・能力」など「人生の錨（いかり・アンカー）」としてとらえ提唱した理論があり、そのことを「キャリア・アンカー」と呼び、８つに分類しました。

おおむね、個人のキャリア形成の軸が確率するのは、３０歳前後と言われていますが、その後の経験や転職、結婚や出産などの大きな環境変化があっても、生涯にわたって根幹は大きく揺らぐことはないと言われています。

一般的な自己分析では「何が好きか？」「何が得意か？」「何をしたいのか？」など比較的表面的な内容とは異なり、「どのような働き方がしたいのか？」という視点で分析する方法です。

それでは、キャリア・アンカーの８種類をご紹介いたしますね。

１：経営管理能力（ジェネラル・マネジメント・コンピタンス）

• タイプ：「出世思考」が強い、社長志向の人や管理職
• 目　標：経営トップや、ジェネラル・マネージャー、管理職を目指したい
• 価値観：管理職、マネジャー、社長、トップ、取締役、役員、昇進、権限、パワー、権力、リーダーシップ、マネジメント、経営管理、業績、監督、ジェネラル・マネージャー、肩書き、序列、出世、自分専用のオフィス、秘書や社用車、など

２：専門・職能別能力（テクニカル／ファンクショナル・コンピタンス）

• タイプ：「専門職」としての能力を発揮することを望む、いわゆる職人気質の人
• 目　標：昇進して管理職になるよりも、専門職として現場の仕事をしたい
• 価値観：専門分野、専門性の強化、専門家、より高いスキル、第一人者、技術面で頼られたい、才能、プロフェッショナル、スペシャリスト、専門的な知識、その道のプロ、このことならあいつに聞けと言われたい、など

３：自律と独立（オートノミー／インディペンデンス）

• タイプ：「自分のペースやスタイル」を重視する、独立志向の人
• 目　標：規律や他人の作ったルールで縛られたくないため、行動の自由度が高い環境を好む
• 価値観：自由、自立、自律、独立、自分のペース、自分なりの考え、自分らしさ、自由度、裁量範囲、オリジナル、規則に縛られたくない、自由裁量、など

４：保障と安定（セキュリティ／スタビリティ）

• タイプ：「保障や安定、安心感」を重視する、長期の安定を求める人
• 目　標：安定している終身雇用が期待できる大企業や公務員として働くことを好む
• 価値観：安全、安定、手堅い、着実な、パターン化、慣れた、リスクの少ない、習慣的な、確実な、保証された、終身、忠誠心、変化の少ない、前例がある、手順、など

５：起業家的創造性（アントレプレナー的クリエイティビティ）

• タイプ：発明家や芸術家、「起業家」を目指す、クリエイタータイプの人
• 目　標：起業に所属していても、最終的な目標は、独立・起業の道を選ぶ
• 価値観：起業、創業、事業を起こす、創意工夫、ビジネスチャンス、自分の力を試す、新しいこと、創造、オーナー、新規事業、プロジェクトの立ち上げ、起業家、ビジネスプラン

６：奉仕・社会貢献（大義への献身性）

• タイプ：医療、看護、社会福祉、教育者を目指す、世の中のため、人のため志向の人
• 目　標：「世の中のためになるか」を最も重要な価値を置いている
• 価値観：人のため、世のため、社会のため、人類のため、奉仕、役に立つ、多くの人に感謝、貢献、世の中に尽くす、価値観、価値の実現、援助、支援、自分の理想

７：純粋な挑戦（チャレンジャー）

• タイプ：「あえて困難な状況に飛び込み挑戦」する、常にチャレンジ志向の人
• 目　標：挑戦が人生のテーマである
• 価値観：挑戦、克服、競争、達成、打ち勝つ、ライバル、障害を乗り越える、不可能を可能にする、勝ちにこだわる、チャレンジ、マンネリ打破、達成感、一番になる、トップクラス、最強、負けたくない

８：生活様式（ライフスタイル）

• タイプ：仕事は仕事、プライベート、企業人である自分と、一個人の自分を大切に考え「ベスト
• バランス」を常に考えている、ライフスタイル重視の人
• 目　標：仕事に打ち込む一方で、家庭や家族を大切にし、育児などにもしっかり関わりたいまた、自分の趣味や自分の時間も大切に考えている
• 価値観：バランス、柔軟、家族、ケースバイケース、犠牲、調整、会社と自分と家族のバランス

いかがでしたでしょうか？

意外と、当てはまることや経験や体験などが多いのではないでしょうか。

この、キャリア・アンカーでの自己分析法は、インターネットで検索すると、無料で診断できるサイトも数多くありますが、「絶対視」はしないよう注意が必要です。

みなさんの職業生活人生のなかで、ご自身がどんな強みや弱み、今後の方向性など、より自分自身の特性や可能性などしっかりと分析したい方は、弊社にも数多く在籍しています、「キャリアコンサルタント」に相談することをおすすめします。